概要

牧野標本館の概要

 牧野標本館は、日本の植物分類学の基礎を築いた故牧野富太郎博士(1862-1957、初代名誉都民)の没後、遺族から寄贈された未整理標本(牧野標本)約40万点(牧野標本)を整理し、教育・研究のための学術資料として活用することを目的として、1958年に東京都立大学の一施設として設立されました。

 牧野標本は、御遺族から寄贈された当初は新聞紙の間にはさまれ、その上に採集記録のデータが記入されただけの未整理の状態でした。その後、植物名を同定し、新たにラベルを作り、台紙に貼付するという整理作業が長年行われてきました。現在までにそのほとんどが整理され、重複標本を除いた16万点余の牧野標本が標本庫に所蔵されています。また、重複標本は国内外の標本館との標本交換に利用され、多くの新たな標本を得るのに役立ってきました。

 1991年の東京都立大学八王子市への移転にともなって設置された牧野標本館 本館に加えて、2018年2月には本館の2.5倍もの収蔵容積を有する別館が完成しました。また、これに併せて本館の一部を改装し、展示室も設置されました。

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牧野標本館の特色

 牧野標本館に所蔵される標本を最も特色づけるのは言うまでもなく牧野標本です。その中には、牧野富太郎博士が新種などの新分類群として発表したタイプ標本約1,000点が含まれています。これらは日本の植物を研究していく上での重要な資料となっています。また、牧野標本の中には、すでに野外では見ることができない絶滅した植物、あるいは絶滅に瀕している植物標本が多数所蔵され、これらは歴史的な記録資料としても貴重なものです。

 牧野標本以外にも、牧野標本館には共立薬科大学から寄贈された故桜井久一博士のコケ類標本約2万点(タイプ標本約600点を含む)、故東道太郎氏寄贈の藻類標本約1万点、ロシアのコマロフ植物研究所標本館から交換標本として贈られたシーボルトコレクション(約2,700点)など様々な研究者や、各地で調査活動を行ってきた市民科学者の方々が収集した標本も多数収蔵されています。

 また本学は、東京都の島嶼である小笠原諸島の植物相に関する研究を昭和43年以降継続的に進めてきましたが、これらの地域から収集した植物標本も数多く所蔵されています。これらは小笠原諸島の植物を研究するうえで欠かせない資料になっています。

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別館の収蔵庫

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